流行語ですか?

「真逆(マギャク)」というコトバが取り沙汰されていますね。


個人的な経験では、「マギャク」というスラングは随分前から耳にしており、もしかすると自ら使ったことがあるかも知れません。ですから新語というよりは、今まであった言葉が脚光を浴びているということなんでしょう。ボクはTVで聞いたことありませんけどね。本来ならこういったスラングを簡単に使ってしまうマスコミが嘆かわしいとされるべきなのですが、時代の流れでしょうかね、あまり気にされることもないようです。


さてこの「真逆」ですが、一応は「まさか」と読みます。「まっさかさま(真逆様)」から来ているとされてるんですが、これ、どうもおかしい。「真逆様」というのは「真にさかさまであること」ですから、「真+逆様」の二語です。しかし万葉出典の「まさか」は繋がっており、一語です。「まさか=まっさかさま」が成り立たないことになります。つまりは「真逆」を「まさか」と読めないことになる。
このあたりは、当て字であろうが何であろうがやたらと漢字を使いたがった近代文学と、それを元にするしかない現代語解釈の問題点が如実にあらわれていると思われます。


ボクとしては「真逆」を「まさか」と読むことに正当性を感じないし、話し言葉である「マギャク」に漢字を当てるのもセンスが無さ過ぎるおもいますね。
よって、これからは「真逆」を「しんぎゃく」と読むべきだと主張します。数学的なイメージでの「真逆の関係」という用法です。


数学には命題というのがありますが、これは「ある命題が真であることを証明する」という学問です。真に対するものは、逆、裏、対偶と呼ばれ、これらを駆使して証明するやり方があります。

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対偶
図にするとこのようになり、「真=対偶」以外は成り立たないという前提です。(http://www6.plala.or.jp/yottya/docs/ronri1.html ここがわかりやすいのでどうぞ。義務教育ちゃうのでわからんひとは置いていきますよ)


この数学的な「真」と「逆」の関係、これをして「真逆の関係」と呼んでやりたいとおもいます。真を否定することで論理的に正しいと見せかけているがその実完全な証明ではあり得ない、そんな悲哀が込められているのです。一見「対偶」のほうがねじれているようなのにその実は真であり、一見「逆」のほうが素直であるのに実はねじれている。「真逆」には、そんな相容れないものの在り方があらわれているのです。


これから「真逆」は「しんぎゃく」。さぁ流行らせよう!